NPO法人クロスフィールズでは、新興国の留職プログラムでグローバルに活躍できる人材の育成、企業・行政の新興国進出を支援します。

クロスフィールズ創業記 The CROSS FIELDS History

小沼大地と松島由佳がクロスフィールズを創業したのは、
2011年5月。2人が途上国でNPOやビジネスと出会ってから、
「社会の未来と組織の未来を切り拓くリーダーを創る」という
ミッションを掲げて起業するまでには、長い道のりがありました。

クロスフィールズ創業記 The CROSS FIELDS History

シリアから帰国して感じた温度差

高校の頃から教師を目指していた小沼は、大学卒業後、教師としての幅を広げるため青年海外協力隊に参加しました。渡航先のシリアで出会ったのは、欧州の企業から派遣されてきたドイツ人経営コンサルタント。現地の人々とともに目を輝かせながら課題を解決していく彼らを見て、「ビジネスとNPOの世界をつなぐことで、何かが起こる」と小沼は思い始めます。

帰国後、小沼はシリアでの体験を友人に熱く語りました。しかし、企業で働き始めた彼らから返ってきたのは、驚くほど冷めた反応。「社会を良くしよう」と語り合った友人の変化にショックを受けた小沼は、同世代の仲間たちの情熱を保ち続けようと、社会起業家と語り合う勉強会”コンパスポイント”を立ち上げました。

シリアの小学校で環境教育の授業を行う小沼。活動の中で、自国の為に働くリーダーたちの熱意や勢いに触れる。

幼少期から取りつかれたNPOの魅力

初めてカンボジアを訪れた14歳の松島(一番左)。現場で働く大人たちの姿は幼い松島の胸に刻まれた。

松島がNPOと出会ったのは、中学生の時でした。父親が立ち上げたNPOのカンボジアでの活動現場を訪れ、目にしたのは、社会を良くしようと働く魅力的な大人たちの姿。わくわくしながらその体験を友人に話すと、返ってきたのは「NPOってなんだか怪しそう」という言葉でした。大好きなNPOの話を人に伝えられないもどかしさを感じながら、松島は「NPOがもっと認められる社会になってほしい」と思うようになりました。

大学進学後、松島は国際協力NPOに参加します。そこで見たのは、プロボノのサポートを得ながら、想いと頭脳の両輪で経営するNPOの姿。「NPOの活動はビジネスの力でより加速する」そう気づいた松島は、ビジネスの世界を目指そうと決めました。

NPOとビジネスの間に橋を架ける

別々の人生を歩んでいた2人が偶然出会ったのは、就職活動の面談でした。「ビジネスを学ぶことで、社会を変える力をつけたい」というお互いの話を聞いて「同じことを考えている人がいる!」と2人は意気投合。小沼は迷わずコンパスポイントに松島を誘いました。

週末は、コンパスポイントの仲間たちとNPOの活動をサポート。
ビジネススキルを使ってNPOの活動に貢献する中で、ふたりの問題意識はより深まっていく。

立ち上げから3年が経ったコンパスポイントでは、有志のメンバーが集いNPOの活動を支援するプロジェクトが始まりました。プロジェクトリーダーを務めた松島は、数多くのメンバーとともに企画運営を進める中で、「スキルと時間を使って社会に貢献したい」という想いをもつビジネスパーソンが少なくないことに気づきます。プロジェクトを成功させ、ビジネスで培ったスキルがNPOの役に立つことに自信を深めた2人は、「NPOとビジネスがつながる機会を、もっと増やしていきたい」という想いを抱くようになります。

ついに起業を決意、しかし・・・・

その想いは、コンパスポイントの仲間たちと議論を重ねるなかで、クロスフィールズのミッションへと結実していきました。2人は、ビジネスパーソンを途上国のNPOに派遣する“留職”での起業を見据え、本格的に動き出します。「社会に必要とされているか、全力で試してみよう」と、日中は企業とアポを重ね、夜中に打合せを繰り返す日々。「検討したい」という企業が現れたのは、数十社を訪問した後でした。手応えを感じた2人は、起業を決意します。そして3月11日、小沼が退職挨拶のメールを書き終えたその時、東日本大震災が起こったのでした。

未曽有の大震災により、翌週以降のスケジュールは全て流れ、進んでいた導入の話も白紙に戻ってしまいます。突然のことに2人は途方にくれながらも「今できることをやろう」と、災害支援NPOのサポートを始めます。

被災地に入り込んでいた小沼が東京に戻ってきた5月の連休、2人はJICAの貸し会議室にこもり、事業計画を練り直しました。クロスフィールズがいよいよ船出した瞬間です。

ロゴも決定し、いよいよ走り出す二人。「君たちは垂直の壁を登ろうとしている」と言われながらも、果敢に挑戦し続ける。

次々と仲間に広がる情熱

創業1周年記念パーティー。クロスフィールズのミッションに共感し、
ふたりを応援する仲間が集結した。

留職実現に向けて奔走する小沼と松島を支え続けたのは、コンパスポイントの仲間たちでした。「うちの会社にも提案しよう」と、次々と2人に企業を紹介します。「前例がないから導入できない」と100社以上に断られても、諦めることなく提案し続けられたのは、彼らの応援と励ましがあったからでした。

転機は、導入を検討していた企業の中に、「仕事を通して、途上国の課題を解決したい」という想いを持つ社員に出会ったことでした。留職のコンセプトに共感した彼らは、自主的に社内での働きかけを展開。そのことが功を奏し、2012年2月、ついに留職第1号が実現しました。

一号案件のベトナムでのプロジェクトの様子。「仕事を通じて社会に貢献したい」という社員の気持ちが支えとなった。

いま、そしてこれからのクロスフィールズ

2014年5月、クロスフィールズは創業3周年を迎えました。2人の想いから生まれたミッションのもとには、ともに働く仲間や、途上国のNPO、そして志を共有する企業パートナーが集まり、次々とプロジェクトが立ち上がっています。

これからもクロスフィールズは、すべての人が「働くこと」を通じて想いを実現する世界、NPOとビジネスが協働し社会の課題を解決していく世界を目指して、仲間とともに一歩一歩前に進んでいきます。

たった二人の船出だったクロスフィールズだが、学生インターンも含め、約10人の仲間となった。