留職プロジェクトリスト|新興国「留職」プログラムのNPO法人クロスフィールズ

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留職レポート

“必死”の伝播と、「会社で働くこと」の 意義の再確認

ソーラークッカーのコスト削減で現地の環境問題に取り組む

パナソニック株式会社 スペース&メディア創造研究所 山本尚明さん

ベトナム 環境/エネルギー

企業の社員が数カ月間にわたって新興国のNGOや行政機関に派遣され、そこで本業のスキルを活かして現地の社会課題の解決に挑む、クロスフィールズの留職プログラム。2012年2月には、パナソニック株式会社のソーシャルシステムデザインを手がける山本尚明氏(33)が、「留職」に参加し、約1カ月間、ベトナムのNGOで活動しました。

日本企業としては初めて、留職プログラムを実施したパナソニック株式会社ですが、どのような目的で実施し、どのような効果を生んだのでしょうか。参加者の生の声も踏まえて、詳細にお伝えいたします。

プロジェクト基本情報 - パナソニック株式会社

■留職者:
山本尚明さん (当時33歳)
■所属:
パナソニック株式会社 スペース&メディア創造研究所
■留職先:
ベトナム(ダナン)
■留職期間(現地):
2012.2-2013.3(1ヶ月間)
■受け入れ先団体:
ソーラークッカーの普及により薪調理での病気の低減・環境保護を目指すNGO

1.実施に至った背景

パナソニックでは2011年度より、社員が本業で培ったスキルやノウハウを活かして国内のNPO/NGOの事業展開力強化に協力し、社会問題の解決に取り組むプロボノプログラムを展開してきました。当初はNPO/NGOへの貢献が目的でしたが、実際に活動を行うなかで、参加した社員自身が気付きを得て成長していくという人材育成の意義も大きいことがわかりました。

「この活動を、新たな市場となる新興国で展開することに大きな意義があるのではないか」。社内でそのような意見があがり、留職プログラム実施の検討が始まりました。「自分のスキルを活かして新しいことにチャレンジしたい」、「新興国での実際の暮らしや課題を知りたい」という、社員の想いに応えたものです。留職を通じて現地の生活に深く入り込むことで、日本と異なる文化や価値観、そしてさまざまな社会課題と持続可能なライフスタイルについて学び、その経験を今後の同社の商品開発やマーケティングに活かしていくという狙いもありました。

この活動は“Panasonic Innovation Volunteer Team (PIVoT)”と名づけられ、導入検討のためのパイロットケースとして、今回の留職プログラムの実施が始まりました。

■(参考)パナソニック株式会社PIVoTの紹介ページ
http://panasonic.co.jp/citizenship/pivot/

2.ベトナムでの留職プログラム

(1)企画設計:PIVoTチームのミッションを策定
内容

今回の留職プログラムで山本氏が向かった先は、ベトナム中部の都市ダナンに拠点を置く現地NGOでした。この地域の貧困層の家庭では、薪を集めて火をおこし、毎日の食事を作ります。しかし、その際に排出される有毒な煙が目や肺の病気の原因となったり、薪となる木材を使うことで森林伐採が拡大するなど、多くの社会問題を引き起こしていました。



内容

留職先のNGOでは、太陽光を利用した調理器具「ソーラークッカー」の製造・販売を、10年以上にわたって行っていました。薪の代わりにソーラークッカーを普及させることで病気の発症を抑え、さらには環境保護にもつなげるというのがこの団体の目的です。しかし、ソーラークッカーの製造は手作業で行われるため、コストがかかり、貧困層の手の届く価格で生産できないという課題がありました。


そこで今回、「東南アジアで、環境分野の新しい取り組みを行っている団体に貢献したい」というパナソニックのニーズと、「この商品のさらなる改善を模索したい」というNGO団体のニーズをつなげる形で、この留職が決まりました。こうして、山本氏は、パナソニックが持つものづくりの技術やノウハウを活用して、「低コストで生産可能な製品デザインを設計し、それに基づいた試作品を制作すること」をミッションとした活動に従事することになったのです。

(2)事前研修:現地での活動の価値を最大化するための準備を実施
内容

今回の現地業務期間は1か月間と短いこともあり、事前に日本において準備を行うことを徹底しました。現地に派遣される山本氏の他にも、日本からサポートするPIVoTのリモートチームとして、経営企画(37)、マーケティング(35)、エンジニア(34)、CSR(32)など、さまざまなスキルを持った4名の社員が参加。ミッション達成のため、総勢5名がチームとして活動にあたりました。

出国の数カ月前から数回に分けて、チーム全員で事前研修を実施。座学形式でベトナムの生活やNGOの事業について学ぶことからはじまり、中盤では留職先の団体とビデオ会議を行うなどして現地での活動についての理解を深めていきました。最初は少し緊張した面持ちだったチームメンバーたちでしたが、出発の日が近づくにつれ、緊張が、初めてのことに挑戦するわくわくした気持ちに変わっていったようでした。

(3)現地業務:ミッション達成に向け、チームが一丸となって奮闘
内容

2012年2月、ベトナムに向けて、山本氏は出発しました。現地での最初の1週間は、日本とは異なる環境に慣れることから始まりましたが、受け入れ先NGOのスタッフは日本からの留職者を暖かく迎え入れてくれ、早く現地になじめるような雰囲気を作ってくれました。それに応えるように山本氏は、まずは現場でどのようなことが起こっているのかを理解するため、生産現場の視察や、ソーラークッカーのユーザーへのヒアリングなどのリサーチを行いました。毎日朝早くから仕事を始め、現地の事情をより深く理解しようと質問を重ねる山本氏の真摯な姿がNGOスタッフにも伝わり、お互いの間にあった緊張も徐々に解かれ、信頼関係が築かれていきました。


内容

しかしそれと同時に、山本氏は、慣れない環境の中でたくさんの壁にもぶつかっていました。コミュニケーションひとつをとっても、壁となるのは言語の違いだけではありません。自分の考えをうまく相手に伝える方法や相手の本音の引き出し方など、日本でのコミュニケーション方法が全く通じないことに衝撃を受けていました。
たとえば、普段現地では会議に資料を用いないため、現地スタッフと会議をする際の資料の作り方を変えるなど、日本での仕事の常識から踏み出し、工夫していく必要がありました。「相手が何を考えているのか、どのように新しいことを理解していくのか。相手の頭の中に焦点を合わせながら、自分の意見を伝えていくことが大事だと思いました」と、山本氏は振り返ります。


また、ソーラークッカーの改善に必要な材料を調達する際、日本では簡単に入手できるものでもベトナムではなかなか調達できないといった困難にもぶつかりました。山本氏は、「机上で考えるよりも、とにかく実際にやってみる。やってみることで、理解し、学ぶことができます。そして、そこからまた踏み出すことが重要だということを、身をもって感じました」と、話します。「現地では、調達できる材料も、製造で使える機械も違うので、その中で何ができるかを考えないといけませんでした。日本では『こうすればいいのに……』と思うことでも、ベトナムではできないことも多々あります。しかし、現地では出来ない理由が、そこにはきちんとあったりするのです。ベトナムにはベトナムのやり方があるのだということが身に染みてわかりました」という言葉にも、現地にどっぷりと浸かるからこそ経験する苦労とやりがいが表れていました。


内容

そんな困難な状況を支えたのは、日本にいるリモートチームでした。何度もテレビ会議を行い、チームメンバーのさまざまな知恵や知識を活用して、現地にいる山本氏ひとりでは解決できないことへの改善策を練りました。また今回は、このPIVoTチームの活動を知りたいという社員のために、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を活用し、現地での活動内容を毎日レポート。そこにコメントを付けることにより、相互にコミュニケーションできる場を作りました。ベトナムで孤軍奮闘状態になりがちな山本氏にとっては、SNSで毎日の報告をしたり、そこに書き込まれる日本からの応援のコメントやメッセージを読むことが、心の支えとなっていたようでした。


時間の経過と共に、現地での生活や活動にも慣れ、NGOの一員のように馴染んできた山本氏でしたが、同時に「限られた期間の中でミッションを達成できるのだろうか」というプレッシャーも高まっていきました。留職先NGOのカウンターパートは10年以上ソーラークッカーに関わる活動をしており、知識や経験も豊富。いくら大手企業で10年のキャリアを持つデザイナーとはいえ、受け入れ先の事業に対して貢献できる活動を行うことは、とても困難なことでした。
日本において山本氏は、ものづくりのプロセスのうちの一部を、専門家として担当していました。しかし、ベトナムのNGOの小さな組織の中では、本来自分の役割ではない部分にも責任を持ち、より全体感をもって事業を推し進めなければなりません。このように、ベトナムでは広い範囲の責任を負わなければなりませんが、山本氏は厳しさを感じるとともに、そこにやりがいを感じているようでした。
「大企業に勤めていると、業務が分割しているため、ひとり当たりの責任は小さくなります。今回は、商品・生産・在庫など、全てを俯瞰しながら責任を持つ経験ができました。プロセスのすべてが真剣勝負で、そこには多くの学びがあふれていました」


プログラムが終盤に近づき、いよいよ試作品を仕上げるリミットが迫ったある日、ソーラークッカーに技術的な問題が発生し、制作できるかわからない状況になりました。チーム内の知識には限界があり、全体が諦めかけた雰囲気となったとき、チームメンバーのひとりが「社内に解決できる人がいるのではないか」と発案。早速、社内のベテラン技術者をミーティングに招き、相談を持ちかけることになりました。


内容

最初、ベテラン技術者たちは突然のことに戸惑っていたようでした。しかし、ベトナムの社会課題解決に向けた製品開発に立ち向かうチームの姿に感銘を受け、また、自分の技術力を通じて現地に貢献できることに面白みを感じ、次第にメンバーとの議論は熱くなっていきました。そして、ベテラン技術者からのアドバイスが突破口となり、無事試作品制作へと前進することができたのです。

内容

ベトナムで活動する山本氏だけでなく、部署や職位を超えたパナソニック社員の力が結集し、ついに低コストで製造可能なソーラークッカーの試作品ができあがりました。最終日、山本氏はこの試作品で肉じゃがやだし巻き卵などを作り、日本の料理をベトナムの方々に振る舞いながら、1か月の取り組みの感謝の気持ちを伝えました。

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(4)事後研修:今後の業務に繋げていくための議論を実施
内容

現地での業務終了後、帰国した山本氏とリモートチームのメンバーたちは事後研修に取り組みました。今回のベトナムでの留職の成果や学びは何だったのか、そして、それぞれのチームメンバーはどのように成長したのかを振り返っていきました。ベトナムで事業をする際に特に気を付けるべきことは何か等といった会社の業務としての学びを議論すると共に、出発前にメンバー各自が立てた目標に照らし合わせ、各自の働き方をメンバー相互でフィードバックし合いました。
また、今回山本氏が肌身で感じたベトナムの低所得者層のニーズを踏まえ、将来的にどのような製品・サービスであればパナソニックの事業としても貢献できるかの議論も行いました。
なお、事前研修から現地業務・事後研修までの約半年間のプログラムの成果は、パナソニック社内の、新興国での事業に関心のある方々30名程度を集めた最終報告会の中で共有されました。報告会では、今回のプロジェクトの内容に留まらずに活発な議論が行われました。

留職先団体における成果:手を動かす仲間が出来たことが最大の価値

内容

1か月という短い期間でしたが、PIVoTチームにより、新しいソーラークッカーの試作品ができあがりました。このタイプなら、製造のリードタイムを2割、材料の調達コストを1割、それぞれ削減することが可能です。完成品にたどり着くにまでは、引き続き試作を重ねる必要はありますが、この試作品がひとつのきっかけとなり、留職先NGOの今後の事業展開につながることでしょう。近い将来、低価格でのソーラークッカー販売が可能となり、より多くの家庭にこの商品が届くことに、PIVoTチームは期待を寄せています。

さらに、毎日NGOスタッフと一緒になって汗を流し、ベトナム社会のための製品開発に努力を惜しまなかった山本氏の姿は、NGOスタッフの心にも強く印象に残ったようです。留職先団体のCEOは、「資金的な援助や、いろいろな取材をしてくれる支援者の人は、今までも多くいました。それもありがたいのですが、本当に重要なのは、一緒に手を動かしてくれること。今回の山本氏の方は、私たちと一緒にまじめによく働いてくれて、それがとても嬉しく感じました」と、評価しています。
ベトナムの現地NGOで、日本から来た山本氏が、同じ目線で一緒になって働く。このことで生まれたのは、ほかでもない、パナソニックの山本氏と留職先NGOとの信頼関係でした。

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留職者における成果:現場への想像力と、一人でもやり遂げる成功体験

留職者である山本氏は、現地での活動を通してさまざまな経験をし、そこから多くのことを学びました。そのたくさんの学びのなかから、2つの例を挙げてみましょう。「ベトナムのような新興国の可能性と、そこに目線を合わせる想像力の重要性」と、「大企業の看板を外して、自分でやり遂げる経験」です。

1.ベトナムのような新興国の可能性と、そこに目線を合わせる想像力の重要性

内容

現在の日本のような恵まれた環境では、欲しいものを欲しいときに入手することは、それほど難しくはないでしょう。しかし、ベトナムをはじめとする新興国では、限られたリソースの中で事業を進めなければならないケースが多々あります。
そんな状況のなか、リソースを最大限活用するためには、常にアンテナを張り巡らし、創意工夫を繰り返さなければなりません。今回の留職先NGOのCEOも同様で、常に「事業のヒントになるものはないか」と、見るもの聞くものすべてに感覚を研ぎ澄ませていました。そのような感性が育まれているベトナムの地には、たくさんの可能性が詰まっている。山本氏はそう感じたようでした。

「今後ベトナムで事業をする際には、日本の常識は捨て、ベトナムの目線に合わせ、そこで一緒になって物事をつくり上げることが重要です」と、山本氏。そのような目線は、現地の人と一緒になって汗を流し、関係を深めてこそ獲得できるものだと、山本氏は身をもって知りました。
「日本の会議室でデータや調査レポートを読んでも、『この事業が誰のためのものなのか?』という対象は見えてきません。そのように、対象のイメージがないまま事業の検討をしても意味がないと感じました。現地にこの製品を必要とする人がいるはずなのだから、その人と目線を合わせ、仲間となり、一緒に事業を進める関係をつくることが重要なのです」と、山本氏は強調します。「まだ見ぬ人からの調査やレポートでも、その人の持つ問題意識や背景に想像力を働かせることが大切です。自分も以前はレポートを読んでわかった気になっていましたが、背景にまで想像が及ぶようになったのは、ベトナムでの活動を経験してからです」

2.大企業の看板を外して、自分でやり遂げる経験

内容

山本氏はもともと、通常の業務として、多くの海外出張をこなしていました。しかし、出張のようにパナソニックの名刺を持って仕事をするのではなく、今回のようにひとりの人間として、現地でゼロから信頼関係を築き仕事をするのは初めての経験でした。大企業の看板がないなか、自分でミッション遂行までの工程を考えなければならない山本氏のプレッシャーは相当のものだったようです。しかしプレッシャーが大きい分、試行錯誤を繰り返しながらの現地スタッフとのコミュニケーションや、そこから得ることができた信頼関係は、すべて自分の資産となります。「会社の出張では、個人ではなく“会社の人間”として話をしますが、それは会社を代表すると同時に、会社に守られているのだと感じました。今回、人生で初めて、違う国の人と意見交換をして、“個人”として対等に関係を築いた気がしました。信頼関係を築くことはかなり難しいことではありますが、そこから得たものは、かけがえのない自分の財産です」と、山本氏は満足した表情を見せます。

現地では、決められた仕事はなく、指示をくれる上司もいません。自由に仕事をしていいという状況です。どこにフォーカスを当てて成果に結び付けるのかを練り、目標達成のためにどのように人を巻き込むかを考えることにも、山本氏はやりがいを感じていたようです。プレッシャーもありますが、自分の志を頼りに仕事をゼロからつくっていくことの面白さは、今後の彼の仕事にも大きな影響をもたらすのではないでしょうか。

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パナソニック株式会社における成果:
“必死”の伝播と、「会社で働くこと」の意義を問い直すきっかけ

留職期間中、ベトナムでひとり活動する山本氏や、それを日本で支えるリモートチームは、限られた期間の中で最大の成果を上げるために、「今やらないといつやるんだ」と、圧倒的な行動力を発揮していました。山本氏の言葉を借りると、「知りたいこと、やりたいことの軸を強く持っていれば、意思を持ってほかの人たちを巻き込んでいける」。何がなんでもやり遂げようとする覚悟をもった姿が、海を越えて日本のリモートチームに伝わり、さらにはほかの社員にまで伝わったのかもしれません。試作品完成に大きな貢献をしたベテラン技術者も含め、応援者はどんどんと増えていき、部署や職位の壁を超えた、風通しの良いチームが広がっていきました。

内容

また、今回のPIVoTチームは、もともとメンバー同士の面識はなく、今回のプロジェクトで初めて会った社員たちでした。そんなメンバーが折に触れて口にしていたのは、「こんなに面白い人がパナソニックにいたなんて!」という言葉。このように、素晴らしい社員がたくさんいる組織の中で、同じような関心を持った将来のリーダーたちがつながり、絆を深めるきっかけになったのではないでしょう。

山本氏が帰国して最初にしたことは、「社史を読み直したこと」だったそうです。「元々は町工場のようなところから、今の大きなパナソニックになるまでの歴史に、ベトナムの留職先団体の今後の発展のヒントになるものがないか探したかった」というのがその理由です。山本氏がベトナムで見たのは、戦後日本のように限られたリソースの中でものづくりを行い、それを目の前の人、ひいては社会全体の幸せにつなげたい、という気持ちで働く人々がいる景色でした。それは、パナソニック創業当時の景色と、似ているのかもしれません。
このように留職プログラムは、会社が社会に存在する意義、そしてその中で社員が働く意義を、改めて確認する機会にもなったのです。

参加者の声

ベトナムへの留職者:
パナソニック株式会社 スペース&メディア創造研究所  山本尚明氏
内容

新興国 / 途上国の社会課題に取り組む現場で、業務に携わることができる点に最大限の魅力を感じて参加いたしました。短期の出張ではなく、一定期間現地の団体と共同で活動することで、外部からの傍観者の視点とは違う、現地目線で物事を見る感覚を身につけたいと考えていました。日本で考えていると、知識はつくけれど、机上の空論の精度が上がっていかないことにフラストレーションがありました。広く浅くとは逆に、ひとつの現場やテーマを定めて取り組むことで、説得力をもったアイデアが生まれることを期待しました。

今回ベトナムに行ってみて、現場が抱える適切なissueをみつけるためには、やはり日本と現場の両者の目線を合わせるための一定期間の共同ワークの時間が必要だと感じました。日本出発前に検討していたことは、現場に照らし合わせると理解が浅かったことを痛感し、現地に適した商品を検討するうえでは、現地で課題解決に取り組んでいるキーマンと協業することの重要性を改めて実感しました。日本のような先進国と、ベトナムのような新興国とを比べたときに、日本が優れた技術や知識をもっているように考えることは、誤ったマインドセットだと気がつきました。いまやインターネットに英語でアクセスが出来れば、新興国でも様々な技術情報には容易にアクセスすることが出来ます。その中で日本人が研ぎ澄ますべきものは、単なる知識ではなく、異なるシーズとニーズと結びつけるイノベーティブな発想だと感じました。こういった現場で自分自身を活かす為には、日々日本での業務でも、上記のポイントを意識して業務に取り組めればと思います。

現在のベトナムは、パナソニックが創業後、ベンチャーから成長をしていった時代に近しいものを感じます。貪欲に学び、日々工夫を積み重ねて、仕事に取り組む姿をみて、ものづくり企業の初心に返りました。今後、ベトナムやアジアの他の国々と、どのように国際分業をしながら、ものづくりをしていくのがよいのかを、日本・海外の現場を見ていくことで考えていきたいと思います。

担当者の声

事務局:
パナソニック株式会社 社会文化グループ 戦略推進室 原口雄一郎氏
内容

新興国での事業拡大に伴い新興国人材の必要性が増している中、社員からも新興国の生活の実態を知りたい、新興国の社会課題解決に貢献したいという声があがっていました。それに対し、留職プログラムは、幅広い海外のネットワークを通じて事業とつながりの深い分野の団体とマッチングし、行きっぱなしではなく、プログラムの成果を会社に活かせる形でフィードバックする仕組みがある点が大きな魅力です。

活動する団体を選定する段階から、面談で本人のスキルや希望について把握した上で、クロスフィールズから十分な数の団体候補を提示してもらい、その中から相談しながら絞り込んでいったため、非常に満足の行くものになりました。また、渡航前から、留職者と留職先団体の間で、業務スコープや活動計画をすり合わせることで、明確な目的をもって渡航し、現地での短い時間を有効に活用することが出来たことも良かったと考えています。現地活動段階になってからも、慣れない環境に飛び込んで短期間で成果をあげなければならないという留職者のストレスのある状況において、クロスフィールズの方にも直接現地に入ってもらい日々の相談相手になったり、時には団体へのフォローを行うことで本人の心的負担を軽減し、活動に専念させるサポートを貰えたことも有難く思っています。

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