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留職レポート

現地に入り込み、新興国のリアルを肌感覚で理解

インドの子ども向け英語学習プログラムの品質改善プランを提案

株式会社ベネッセコーポレーション 人財部 日裏賢志さん

インド 教育/職業訓練

今回の留職の経験をヒントに、自身も担当するグローバル人材育成のプログラムを発展させ、海外事業の成功に結びつけていくことがこれからの展望だと話す日裏賢志さん。インド南部チェンナイでの1ヶ月間の留職で得た学びや気づきとは、どのようなものだったのでしょうか。

プロジェクト基本情報 - 株式会社ベネッセコーポレーション

■留職者:
日裏賢志さん (当時36歳)
■所属:
株式会社ベネッセコーポレーション 人財部
■留職先:
インド(チェンナイ)
■留職期間(現地):
2013.1-2013.2(1ヶ月間)
■受け入れ先団体:
郊外・準都市部の学校向けに英語学習教材を開発・出版する企業

留職プログラムに参加した理由

新興国の文化、ビジネス感覚を現地で深く理解したい

ベネッセコーポレーションでは、今後加速する海外展開のため、2013年度より半年間の留職プログラムを本格的に導入することが決まっています。その実施に先立ち、人財部からパイロット版として2012年度に約1ヶ月間のインド留職に参加したのが日裏さんでした。
今回の留職にあたって、日裏さんは明確な3つの目的意識を持っていました。1つは「将来的に人事として新興国の市場開拓の支援ができるよう、新興国の文化、ビジネス感覚を現地で深く理解したい」ということ。2つめは「自分の社会人としての経験を生かして新興国のビジネスに関わり、現地でより直接的に新興国の社会発展に寄与する活動をしたい」ということ。そして最後に「全くの異文化、日本の常識が通用しない環境で、自分自身の力を試してみたい」ということでした。

参加団体・担当業務の紹介

実情を調査することに努め、事実に基づいた実行可能なプランを提案
内容

多くの人が英語を話すイメージのあるインドですが、特に農村部などでは学校の英語教育の質が低く、子どもたちの英語習得レベルは十分ではありません。結果として、こうした地域では英語を話せない人が多く、職業の選択肢が非常に狭くなっているという社会課題があります。
日裏さんの留職先は、こうした課題を解消するため、幼稚園・小学校向けに独自の英語学習プログラムや教材を開発し、教師に対するトレーニングとあわせて学校に提供する事業を行なっています。

日裏さんはその団体が提供する導入支援の業務プロセスを分析し、これまでの経験で培ってきたスキルや経験を生かし、人事やモニタリングの観点から、品質を改善するための実行プランの策定に取り組みました。当初は自分が何を期待されていて、何をすればよいかがうまく把握できなかったそうですが、現地の幼稚園・小学校を訪問して先生たちに話を聞くなど、まずは実情を調査することに。その結果、プロセスの全体像を把握して課題を洗い出すことができ、最終的には教師の品質を定量的に把握する仕組みや、教師の資格認定制度など、事実に基づいた実行可能なプランを提案することができました。
一方で日本にいるメンバーとの情報共有も積極的に行い、英語教材関連の事業部で働いているメンバーからは、日裏さんの最終提案に対して重要なアドバイスをもらうなど、普段はあまりない社内の部署を横断した連携が起こったことも、非常に意義深い出来事でした。

留職プログラムを通じて得た3つの学び

1.  新興国のフィールドに出ることによるインド市場の理解
内容

たった1ヶ月間の活動でしたが、一般的な現地視察や現地法人勤務ではなかなか入り込めない現場でのフィールドワークを通じ、現地の実情や生の情報を知ることができました。また、現地の同僚たちと一緒に活動する中で、留職先の団体の英語教育に対する情熱は非常に高く、そのアプローチも日本より進んでいるという気付きもありました。
「留職先団体の一員として働き、現地の文化にどっぷりと入り込むことで獲得したネットワークは、ベネッセの将来のビジネスの土壌づくりとして今後意味が出てくる」と言う日裏さんは、こうした経験を踏まえて長期的な視野を持ってビジネスを展開していくことは、これからのベネッセにとって大きな意味があると考えているそうです。

2.  現地の人と分かり合うことの大切さ
内容

留職中は留職先の団体の一員となって業務を進めていくため、現地の人たちとの関係性を深めていけばいくほど、実りの多い経験になっていきます。これまではビジネス上の関係性では「相手との間に壁をつくってしまう」傾向があったという日裏さん。今回の留職先の同僚はみな非常にフレンドリーで、色々なサポートを受けながら活動を進めることができただけでなく、業務以外にも親交を深めることができ、現地の風土や食生活、宗教などの話が聞けたことも留職というフィールドだからこそできた醍醐味だったようです。今回の留職を経て「コミュニケーションという概念についての考え方が変わった」と振り返り、「相手のことを深く知りたいという心意気で臨めば、相手も返してくれる」ということを痛感し、それに気付いてからは色々な人に自分から話をするようになったと言います。

3.  現地の人たちの巻き込み方
内容

価値観が全く違う環境の中でコミュニケーションをとることが求められる状況において、「日本での業務と同じように、自分の考えをロジックと事実をもとに誠意を持って伝えていけば相手を動かすことはできる」ということを日裏さんは確信します。ミーティングを全て英語でこなし、自分が思う方向に議論を持っていくことは大変なことでしたが、日本式の丁寧な仕事の仕方がインドでのビジネスでも通用することがわかり、日裏さんにとって大きな自信となりました。

留職体験を今後のキャリアにどう活かす?

今回の留職先団体の事業は、創業者が「自分の子どもに英語を楽しんでもらいたい」という想いから始まっていますが、それはベネッセの創業経緯や理念と非常に近く、日裏さんも強い親近感を覚えたと語っています。近しい創業のストーリーを持っている団体での留職で得た経験をヒントに、これからの業務の中で担当するグローバル人材育成のプログラムを発展させ、海外事業の成功に結びつけていくことが、日裏さんのこれからの展望です。

参加者の声

株式会社ベネッセコーポレーション 人財部 日裏賢志さん
内容

今回人事よりパイロットとして留職に参加しましたが、留職は人財育成の観点で非常に優れたプログラムだと思いました。留職者にとっては、自分とは全く異なる新興国の環境へ飛び込み、限られた時間、限られたリソースで異なる文化・価値観を持つメンバーを巻き込みながら成果を出さなければいけない、非常に厳しいプログラムです。留職者はそのような環境に置かれることで、磨かれ、成長できるのはもちろんですが、現地に入りこんで活動しますので、派遣先の新興国に関する知識を吸収し、現地社会とのネットワークを構築することができます。会社にとっても派遣国や派遣先となる組織、支援内容等のプログラム設計に深く関わることで、計画的な海外人財の育成に活用することもできます。

確かにインドという全く文化の異なる環境で、何をすれば貢献できるかというところから一から考えざるを得なかったことは自分自身にとっても非常に厳しい環境ではありました。ただ、同僚やフィールドから自由に情報収集しながら本質的な解決策を提案させてもらえるという環境は、自分にとって非常に貴重な経験となりました。日本に戻った後、これまでの自分の仕事は前例や慣習にとらわれ、新しい発想ができていなかった、ということに気付けたことが、自分が最も成長したポイントだと思います。

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