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留職レポート

現地NGOと協業する中で見えてきた理想とするリーダーシップ

カンボジアの手工芸品工房での課題発見と、質の高い仕組みの構築

株式会社日立ハイテクノロジーズ 日立営業本部第一部1グループ 新保隆之さん

カンボジア 工業分野

留職での取り組みを通じて、人の動かし方、信頼関係の築き方に大きな気づきを得、今後自分が理想とするリーダー像も見えたと話す新保隆之さん。自ら課題を発見し、現地の人を巻き込みながらゴールへと導いたカンボジアでの経験について振り返っていただきました。

プロジェクト基本情報 - 株式会社日立ハイテクノロジーズ

■留職者:
新保隆之さん (当時28歳)
■所属:
株式会社日立ハイテクノロジーズ 日立営業本部第一部1グループ
■留職先:
カンボジア(プノンペン)
■留職期間(現地):
2013.2-2013.3(1ヶ月間)
■受け入れ先団体:
貧困層の女性に対する職業訓練などを提供するNGO

留職プログラムに参加した理由

自ら課題を発見し、主体的に取組み、解決していくことへの挑戦

日立グループの中核会社である株式会社日立ハイテクノロジーズで営業職として活躍している新保さんの留職への参加目的は大きく2つありました。 1つは、将来的にグローバルビジネスリーダーになるというキャリアの目標を見据え、「主体性」「リーダーシップ」「グローバルなコミュニケーション能力」を鍛えること。普段の職場とは全く違う環境で1ヶ月という短期間で成果を出す、というチャレンジングな状況に敢えて身を置き、最大限の力を出してやりきることで更に自信を深めたいという思いがありました。

もう1つは、与えられた仕事をただこなすのではなく、「自ら課題を発見し、主体的に取組み、解決していく」という仕事のやり方への挑戦です。普段、業務の中で解決したい課題があっても、「日々の仕事に追い回されてしまいなかなか取り組めないことが多かった」と話す新保さんは、その現状を変えるため、「留職では社会課題の現場に入り込んで、本当の課題は何なのかを突き止め、それを解決するために自らが周りを巻き込み、行動するという経験をしてみたい」と力強く語っていました。

参加団体・担当業務の紹介

購買業務を、勘と経験に頼ったやり方から、より効率的な仕組みへ
内容

カンボジアでは、児童買春が大きな社会問題となっています。貧困にあえぐ家族の生計を支えるためと騙され、現在でも多くの子どもが劣悪な環境での生活を余儀なくされています。新保さんが課題解決に携わったNGO団体では、こうした問題を解決するために農村女性を雇用し、手工芸品の製造技術などのスキルを習得してもらい、安定した収入の確保と自立の支援を行っています。
しかしこの団体は、生産のための素材調達や在庫管理方法について課題を抱えていました。これまでの勘と経験に頼ったやり方から、より効率的な方法に移行したいと考えていたものの、専門知識も乏しく、なかなか取り組みが進まないという状況が続いていました。

内容

そこで、日立ハイテクノロジーズで調達や購買の知識を学んだ新保さんが現地に渡り、その改善に取り組みました。商品の購買責任者、工場の在庫管理責任者に対して細かくヒアリングを行い、毎日のように工場に足を運んで現状の調査をし、計画的に購買を行うためのシステム構築と、在庫管理のための棚を新しく導入するという二つの施策を考え、現地スタッフと共に実行しました。 その結果、これまでなかなか進まなかった改善が一気に進み、現地スタッフの購買や在庫管理に関する理解も深まったと言います。 現在では、新保さんが作った仕組みをもとに現地スタッフが加工を加えた物を使って購買業務を行っています。

新保さんは受入先のNGOから、「コミュニティに深く入り込んで課題を発見し、現地のスタッフと議論を重ねながら質の高い仕組みを作ってくれた。特に、最後まであきらめない姿勢はとても尊敬している。今後も是非このような優秀な人材を受け入れたい」と高い評価を受けました。

留職プログラムを通じて得た3つの学び

1.  自ら課題を設定し限られた時間の中でやりきる成功体験
内容

新保さんの現地業務は、課題と思われる事項についての関係者へのインタビューから始まりました。しかし、何人かに話を聞いていくと、人によって言っていることが少しずつ異なっていました。そこで新保さんは「聞いた内容を鵜呑みにせず、自ら現場に足を運び、自分の目で課題を見つけるようにしないと本当に必要な提案はできない」と考え、できるだけ多く現場に足を運びました。
また仕事のスケジュールも全て自分で決めなければいけない点では非常に苦労しました。1ヶ月という短期間の中、期間内に改善策を完了する方法がないか何度も頭を捻り、通常の稟議プロセスでは新しい棚の購入先の決定に時間がかかることが分かった際には、その導入の時期を少しでも早めるため、休みの日に自ら街を回って棚のサプライヤーを訪問しました。

2. 相手のやる気を引き出しながら同じゴールに向かって協業する力

今回新保さんが取り組んだ業務は決して一人で完結できるものではなかったため、現地スタッフに当事者意識を持ってもらい、共に課題解決に取り組むことが必要でした。どうやったら現地スタッフが動いてくれるかという点に苦労したと話す新保さんは、「相手に行動を起こさせるためには、一方的に伝えるのではなく、共に課題に向き合い『一緒に考える』ことが大切。相手が参加してくれることによって、初めて納得感・責任感も生まれる」という実感を得たといいます。バックグラウンドの異なる人と仕事をする中で、人を巻き込むときは、仕事上のメリットを伝えるだけでなく、「その人の感情に配慮すること」も大切であったと振り返っています。

「相手への『指示』のみだと、人によって理解の仕方が違い、期待と異なるものが出てきたり、相手のやる気も削いでしまい、人を動かすことは出来ない。ゴールを共有して、周りの人が主体性を持って動いてくれることが、自分が理想とするリーダーシップの在り方だと気づきました」

3. 自ら出来ることを全て行い、ゼロから相手との信頼関係を築く
内容

仕事上だけでなく現地で生活をする上でも、現地スタッフとの信頼関係をいかに築くかということは大きなテーマでした。「話したことのない相手は警戒心や不安を持っていることも多いため、よく笑うことを心掛けた」という日頃の接し方からはじまり、「曖昧な理解で返事をすると相手には伝わってしまう。分からない事はその場で分からないと伝えないと、相手からの信頼は勝ち取れない」と、自身の振る舞いを細かく振返り、変えていきました。自分の行動が変わると周りの反応も変わり、徐々に信頼を得られるようになりました。
また、仕事人としてだけでなく人間としても魅力を感じてもらえないと、特に立場が上の人とは信頼関係が生まれないということに気づき、購買部門の責任者に対して思い切って自分から声を掛け、夕飯を共にし、志を語り合いました。このことがきっかけで、お互いを尊重する心が生まれたと言います。

留職体験を今後のキャリアにどう活かす?

社会課題に情熱を持って取り組む人たちと働く際には、自らも情熱を示し、互いを理解し合うことで本当の信頼が生まれるということに気づいた新保さん。現地の様々な人たちとのやり取りの中で、自分が理想とするリーダー像も明確になりました。これまでも海外現地法人との電話会議が頻繁にあり、自分の意図したことが相手に伝わらわず、イライラすることも多かったそうですが、留職での経験を機に、彼らとの関わり方を見直してみようと思うようになったと言います。
今後の業務の中でも、指示を受けるのではなく、自分で課題をつくって実行していく割合を増やしていきたいと話す新保さんの益々の活躍が期待されます。

参加者の声

株式会社日立ハイテクノロジーズ 日立営業本部第一部 新保隆之さん
内容

「留職」は私にとって、情熱、プレッシャー、苦悩の中駆け抜けた、今までに無く刺激的な一か月間でした。カンボジアという見知らぬ土地で、プロフェッショナルとして、現地の歓迎、期待、プレッシャーの中に一人で放り込まれ、悪戦苦闘する毎日でした。
日本での経験に照らし合わせ、問題解決のアイデアは比較的容易に思いつきましたが、それを実行に移す事が非常に大変でした。
まず日本と比べて、習慣、インフラ設備といった条件に、大きな違いがあるカンボジア現地の状況を理解し、現地の方との目線合わせに動きました。

そして、現地の方を巻き込む為に、人としての信頼関係を構築し、指示をするのではなく相手に意見を求め、共に課題を設定し、主体性と責任感を持ってもらう様働きかけました。現地滞在中は最後の成果まで出す事ができませんでしたが、帰国後、現地の方々が引き続き取り組んでくれ、成果を報告頂いた時には、感動と大きな手ごたえ、そして大いなる自信を得る事ができました。 今後グローバルに活動していく中で、今回の経験、学びを大いに発揮していきたいと思います。

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