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留職レポート

エンドユーザーに歩み寄った提案の大切さを再認識

有機農業の企業で、ITを活用したコミュニケーション改善に貢献

株式会社日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 鬼塚安彦さん

ベトナム 農林水産業

ベトナム/ハノイにある有機農業経営するフェアトレード企業で6週間にわたる留職プログラムに参加した鬼塚さんは、システムソフトウェアエンジニアとしての経験と知識を生かし、ITを活用した社内コミュニケーションの改善に取組みました。「非常にチャレンジングな経験でしたが、今後の業務に役立つと感じている」と話す鬼塚さんの留職体験について伺いました。

プロジェクト基本情報 - 株式会社日立製作所

■留職者:
鬼塚安彦さん (当時32歳)
■所属:
株式会社日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部
■留職先:
ベトナム(ハノイ)
■留職期間(現地):
2013.2-2013.3(1.5ヵ月)
■受け入れ先団体:
有機農業経営するフェアトレード企業

留職プログラムに参加した理由

アジア新興国でのビジネスの実践経験を積みたい
内容

日立製作所でソフトウェアエンジニアとして活躍されている鬼塚さんは、東南アジアをはじめとする新興国での新規ビジネス展開に興味があり、将来このような業務に関わりたいという思いから、留職プログラムに参加しました。「グローバルビジネスでは、各国の流行や社会情勢を理解し、さまざまな価値観や利害関係を持つ現地の人たちとよい関係を築きながら、共通の目的に向かって動いていく必要があると考えています。留職プログラムを通じて、そのようなビジネスの実践経験を積めたらと思いました」

参加団体・担当業務の紹介

現状を分析し、現場にあった業務フローの改善を提案
内容

鬼塚さんが派遣されたのは、ベトナムのハノイに本部を持ち、各地の小規模零細農家にオーガニック食品生産の教育や農協・加工工場の設立支援のほか、国内外への農産品販売を手がけている企業でした。ちょうど欧州王手オーガニック流通業者とのジョイントベンチャー設立を控えているタイミングで、各地に点在する生産加工拠点と本部のコミュニケーションや社内の情報共有の仕組みを早急に改善する必要がありました。

鬼塚さんは、事前にテレビ会議や質問表をやり取りして情報を収集し、ベトナムへと向かいました。現地では、実際に本部オフィスや工場、生産現場を訪問し、日常業務の流れとそこで情報がどのように記録され、本部に届けられているのかを確認し、いくつかの提案を行いました。



まず、情報データが各スタッフのノートやパソコン、頭の中などにバラバラに保管されている状況で、一元管理されておらず、報告を促される度にエクセルファイルに出力しているという状態から、データがよりスムーズに記録できるような業務フローを提案しました。また、メールと電話だけでコミュニケーションを取っているスタッフに、共有フォルダの導入とその効果的な使い方を提案し、トレーニングを実施。導入を検討していたERPについては、導入時の留意点やパッケージ比較結果の説明も行いました。



これらの提案を受けて、企業担当者は「検討が必要だった社内コミュニケーション改善のためのIT活用の面で大きな力になってくれた」「システムの知識が豊富で、論理的に考え意見を述べる鬼塚さんの仕事の進め方から多くのことを学んだ。今後組織で活かしていきたい」と話していました。

留職プログラムを通じて得た3つの学び

1.異文化の中で伝える工夫
内容

母国語も文化的背景も異なる現地スタッフとの協業は、当初難航。担当する業務の進捗状況や成果物のイメージ合わせに苦労し、現地スタッフの意見を理解できているのか、自分自身の伝えたいことが伝わっているのか、分からず不安に感じたそうです。その中で、自身自分から積極的に理解しよう、伝えようと行動すること、そして、自分や相手の考えを資料で分かりやすく表現して伝えることの大切さを学びました。そんな鬼塚さんの仕事の仕方を見た現地スタッフは「豊富なシステム知識や論理的な考え方、効率的な仕事の進め方から、たくさん学ばせてもらった」と話しています。

2.エンドユーザー目線での提案の大切さ
内容

これまでの業務では、大規模なソフトウェア開発の一部を担当することが多かった鬼塚さん。今回、エンドユーザーとなる現地スタッフと直に議論を進めていく中で、使い手に寄り添った提案の大切さを改めて学んだといいます。また、ただ提案するのではなく、彼らが考え、自主的に「こうしたらよいのではないか」という答えを導くようなアプローチを心がけるなど、スタッフとのコミュニケーションの取り方にも工夫したそうです。鬼塚さんは、今後、業務でのコミュニケーションでも意識して取り組みたいと話しています。

3.ベトナムを知り、日本の魅力を再発見
内容

はじめは、すぐに計画を変更したり、強気で議論をしてくるベトナム人独特のコミュニケーションスタイルに戸惑うこともありましたが、週末も一緒に観光地へ出かけたり、生産現場まで何時間もかけて一緒に移動するなど、多くの時間を共有する中で、ベトナムを色々な角度から知ることができたといいます。同時に、ベトナムと日本の違いについてしばしば話題になり、おもてなしの精神や規律を重んじる日本人的考え方、食文化など、日本の魅力を再発見できたそうです。

留職体験を今後のキャリアにどう活かす?
内容

ベトナムでの経験を受けて、鬼塚さんは、職場の人たちにこの経験を伝えると同時に、自分なりの方法で、ベトナムや東南アジアを知る機会を提供したいと考えているそうです。特に、現地企業代表の「人を育てる姿勢」や、若者たちがエネルギーに満ち溢れいきいきと頑張っている姿に刺激され、自分の仕事への姿勢を見直すきっかけになり、積極的に後輩の様子に目を配って対話をしていきたいと思いました。若手の成長に目を向け、積極的に対話をして、日々の仕事や国際ビジネスの話をする機会を持ちたいと話しています。

参加者の声

株式会社日立製作所 情報・通信システム社 鬼塚安彦さん
内容

新たな研修プログラムとして、上司から留職を紹介されました。
全く知りませんでしたが、調べてみてそのコンセプトに共感し、東南アジアなどの新興国でのビジネスに興味があったこともあり、希望して参加させていただきました。

いざ現地入りしてみると、第2言語同士でコミュニケーションや、組織を離れて一個人として仕事をすることなど、想像以上にタフな環境でした。
もっとも苦労したのは、どのような課題に取り組み、どのような成果を残すのかを決める最初の過程でした。現地には様々な課題がある一方で、私のスキルや期間が限られており、組織のバックグラウンドなしで、一個人として何ができるのか、葛藤や不安の中でもがきながら、何とか貢献できる仕事を定めて取り組みました。
この過程において、グローバルチームで協働することの難しさや個のスキルを高める必要性を痛感し、他の研修では得られない貴重な経験となったと考えています。

今後も是非たくさんの人が、留職に参加して、タフな環境の中でやり遂げる経験をしてもらいたいと思います。


このプログラムで得た感覚やネットワークを維持しつつ、自分自身を磨きながら、グローバルな市場でのビジネスの拡大や社会課題の解決に貢献していきたいと考えています。

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