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留職レポート

製品を提供した先にあるものを一緒に考えていく

無電化地域の人々の生活向上のために製品の品質改善をサポート

株式会社日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 菊池康人さん

ラオス 環境/エネルギー

ラオス村落部の無電化地域へ導入する太陽光エネルギー製品を扱う団体へ留職した菊池康人さん。「灯りを手に入れた彼らが次に望むものは何か」を見据えることが大事だと気づいたという菊池さんの取り組みをご紹介します。

プロジェクト基本情報 - 株式会社日立製作所

■留職者:
菊池康人さん (当時31歳)
■所属:
株式会社日立製作所 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部
■留職先:
ラオス(ヴィエンチャン)
■留職期間(現地):
2013.2-2013.4(1.5ヵ月)
■受け入れ先団体:
太陽光を活用した再生可能エネルギーを導入する社会的企業

留職プログラムに参加した理由

人のライフスタイルを変えられる「あったらいいな」を提案したい
内容

アジアの国にどっぷりと深く入っていける人財を育てるという目的で本プログラムに派遣された菊池さん。自身も「異文化における物の考え方や進め方を理解し、組織化されていない場所で、課題の発見から解決方法に至るプロセスを学びたい」「限られた期間、限られたリソースの中で、成果を残したい」と意欲的でした。

菊池さんは入社当初から「人のライフスタイルを変えるような、こんなものがあったらいいな、を実現する提案をしたい」という考えを持っており、今回の留職での取り組みがまさにそれに一致するのではないかと、初心に返る気持ちで参加しました。

参加団体・担当業務の紹介

相手にとっての最適解を導くこと、協創すること
内容

ラオス村落部の無電化地域に太陽光エネルギーを導入する団体へ留職した菊池さん。この団体は、太陽光を使ったソーラーランタンや水汲みポンプなどを各家庭に導入し、地域の生活向上を目指しています。菊池さんは、この団体が扱う製品の品質改善点を洗い出し、コストダウンや軽量化に向け、今後設計する際のガイドライン作成に取り組みました。ガイドラインの作成にあたっては、彼らが現実的かつ即時的に実践できる事項を纏めることが課題となりました。そのため、団体の製品開発プロセスを学んだり、担当者から現状の設計方法をヒアリングしたりする中から、彼らが真に必要としているものを見つけていきました。初日に菊池さんが言われたことは、「Think out of the box」という言葉。日本の常識やエンジニアという視点にとらわれず、ラオスだからこそ吸収できるもの、感じられることを自分のものにして考えろということでした。それを胸に刻み、日本のやり方にとらわれず、ラオスだからできることを考え続けた6週間だったそうです。

内容

留職期間の後半では菊池さんは実際に無電化地域に出向き、フィールド調査を行いました。理想を考えればこうすべきということでも、現場には現場の慣習や文化もあり、理論通りにいかないこともありました。「相手の背景を理解したうえで、彼らにとっての最適解を導くこと、協創することが必要」であり、「机の上で考えたことが現場でうまくいくとは限らないし、日本でうまくいったことが他の地域でうまくいくとも限らない」と、現場に出向き、そこで起こっていることをまっさらな気持ちで見ることの大切さを感じたと振り返ります。

留職プログラムを通じて得た3つの学び

1.  異なる文化圏の人たちと一緒に物事を進めていく信頼関係を築く力
内容

これまで海外との仕事では、「日立」という会社の看板によって製造元からは「お客さん」として扱われることが多く、一個人として相手との信頼関係を自ら作らなければならないという経験は少なかったという菊池さん。今回、会社の看板を取り払いゼロから信頼関係を築いていく中で、自分の考えをオープンにしたり、相手に敬意を払ったりするなど、相手にどう接すれば信頼につながるのかを、日々の生活から学んだそうです。
「現地には現地のやり方があり、押し付けるのではなく、彼らのやり方を理解し、そのギャップをどう埋めていくか考えることが大切」とのこと。
またそれだけでなく、オフの場での会話や人間性も本当の信頼関係を築く上で大事だと気づき、日本の文化について聞かれたときに、きちんと自分の意見を持っているかなど、仕事以外でも教養を広げることの重要性を学んだそうです。

2. 自ら仕事を創り、やりきる経験

普段、会社で行う仕事と異なり、今回は自分の業務をすべて自身で考えて決めなければいけませんでした。何をやってもいいからこそ、目標をどこに設定するのかも苦労しましたが、自らの頭で考え、行動する「非定型」の仕事の楽しさを満喫したと言います。「何も決まっていない中、自らの頭で考え行動することが必要だったが、充実感と達成感を感じながら仕事をすることができました。特に、目標を設定するためには、本質的な課題を発見する力が重要であることを再認識させられました。今後も経験を積みながら、この課題発見力の幅が広がるように意識していこうと思います。

3. 新興国でビジネスをしていく視点
内容

相手の背景を理解するなど、現地の視点を獲得することも大切ですが、やはりラオスの人同士の空気感も大事だと感じ、異国でビジネスをする上では、「信頼できる現地の人といかに一緒にやっていくか」が鍵になるということ。
また、無電化地域の人々の生活に触れ、実際に会話する中で、「単に製品単体の提供ではなく、その先にあるもの、灯りを手に入れた彼らが次に望むもの、を一緒に考えていくことが不可欠なのではないか」ということも、大きな学びとなったそうです。

留職体験を今後のキャリアにどう活かす?

今回、菊池さんは全く新しい組織の中に裸一貫で入り込み、自分から相手に寄り添い、相手の望むものに1つ1つ応えることでゼロから信頼を積み上げ、設定した課題をクリアすることができました。信頼関係を築く中で重要だと感じた「相手をリスペクトする姿勢」はこれからも大切にしたいです、と話しています。また、新興国でビジネスを行う上で気づいたポイントのうち、本当に相手のためになる提案をするには、その製品はどんな環境でどのように使われているのかを含めた生活実態や、彼らの生活に多大な影響を与える国の施策等の把握も必要であると気づき、今後海外で仕事をするときに、このような視点をどう発展させていくか、を意識していきたいと語ります。

参加者の声

株式会社日立製作所 菊池康人さん
内容

私が訪ねた無電化地帯は、つい1年前にソーラーランタンシステムが導入された村でした。システムといってもランタン、ソーラーパネル、蓄電池で構成される簡単なものです。使用感をヒアリングした村民は「ランタンのおかげで夜に食事をすることができるようになった」と笑顔で答えていました。そして、家の真ん中にぶら下げられたランタンは、長時間使えるように3段階ある明るさを一番暗く調節されており、この製品が彼らの生活にいかに欠かせないものであるかを認識させられました。使う人のライフスタイルをこんなにも変えられる製品に携われたことは、エンジニアを目指した頃の想いを呼び起こさせる貴重な経験でした。

その一方で、ランタンを充電するお金を払えず、使うことができない人もいるという現実を知り、エンジニアとしての無力感を感じた瞬間もありました。製品やサービスを提供しても使ってほしい人の手に届かない、社会課題を解決することの難しさを痛感しました。

「世の中の人たちにとって本当に役立つモノづくりとは何なのか」を問い続けながら、これからもモノづくりに挑戦していきます。

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