NPO法人クロスフィールズでは、新興国の留職プログラムでグローバルに活躍できる人材の育成、企業・行政の新興国進出を支援します。

HOME > 留職プロジェクト紹介 > NGOから自分にとってのリーダーシップを学ぶ

留職レポート

NGOから自分にとってのリーダーシップを学ぶ

技術者として人と向き合い、組織の中で一人ひとりがリーダーシップを持つことの大切さを知る

株式会社日立ソリューションズ 金融システム事業部 第3本部 第1部 持田健一さん

インドネシア 教育/職業訓練

「ITを通じた社会課題解決によってwin-winな関係を築けるソリューションの提供にチャレンジしたい」と、ジャカルタの教育・ヘルスケアのNGOでシステム開発に取り組んだ持田さん。留職の中盤、失敗もありましたが、それをバネにやり切り、最後は団体から「これこそ待ち望んでいたシステムだ」と絶賛される成功を収めました。地道に、丁寧に現地NGOの方と向き合った持田さんに、ご自身の言葉で留職を振り返って頂きました。

プロジェクト基本情報 - 株式会社日立ソリューションズ

■留職者:
持田健一さん (当時31歳)
■所属:
株式会社日立ソリューションズ 金融システム事業部 第3本部 第1部
■留職先:
インドネシア(ジャカルタ)
■留職期間(現地):
2013.9-2013.11(2ヵ月間)
■受け入れ先団体:
農村地区の貧困層を教育・ヘルスケアの側面から支援するNGO

ITを通じた社会課題解決によってwin-winな関係を築きたい

留職に参加された動機・きっかけは何ですか?
内容

「大きなポテンシャルを持つ新興国にビジネスを広げたい」というのが一番大きいです。そのためにも風俗、文化、考え方を肌で感じ理解出来るようになりたい、新興国の可能性と課題をもっと深く知りたい、というようなことを考えていました。
そう考えるようになったのは2011年に会社の研修でベトナムに行ったのがきっかけでした。ベトナムでは若く優秀な人材が多く輩出されている様子を目の当たりにし、自分が日本で働いていることにどんな意味があるのだろうか、と考えさせられたのと同時に、このままでは日本の競争力が失われてしまうのではないかという焦りも感じました。一方でストリートチルドレンなど課題があることも認識させられました。
そうした中で新興国を単なる市場として見るのではなく、ITを通じた社会課題解決によってwin-winな関係を築けるソリューションを提供できないだろうかというようなことを考えるようになっていた中、留職プログラムの応募があり参加を決めました。

当初の目標を成し遂げられましたが?それはどのように達成できましたか?
内容

日本で培ってきた『考え方起点』、つまり従来のビジネスの常識にとらわれた先進国モデルのBtoB的アプローチをするのではなく、現地を理解した上で『現地からの視点』で真の課題を捉えられるようになり、それに対するソリューションを考えるというアプローチが出来るようになることを目標としていました。それは最終的に活動内容に対しカウンターパートから高評価を頂けたことで達成出来たのではないかと考えています。評価して頂けた理由は、団体にとって図書館とはどういう目的で運営しているか、という理念をまず始めに理解したからだと考えています。つまり現地の人々と同じ視点を持てていたことが、困難な状況に陥った時もブレないで活動し、相手に喜んでもらえるソリューションを提供できた大きな要因になりました。

また、業務ではお客様とベンダーという立場で仕事をすることが多いですが、普段と違いNPO団体の一員として、NPO団体のシステム担当者として仕事を進めたことも新しいチャレンジでした。団体にとってこのシステムにどんな意味があるのか、団体にとって重要なことは何かを彼らと同じ目線で一緒に考え最後までやり切ったということがいつもと違い勉強になりました。

留職前後の変化 ~課題解決に対する認識~

留職に行かれる前と行った後で、変わったご自身の価値観や考え方はありますか?

一番変わったのは課題解決に対する認識です。日本で現地の課題を調べたり、ヒアリングしたりしてある程度理解したと思っていても、実際に現地に行ってみるともっと根深い問題や想定と異なる実情があることが分かり、課題の認識が不十分だったことを理解しました。複数の絡み合った要素に対し一つのソリューションだけで全て解決というわけにはいかず、複雑な要素を単純化して一つ一つクリアしていくことが真に課題解決するためには必要だということを痛感しました。

帰国後、周りの方から「変わった!」と言われたことはありましたか?

「物怖じしなくなった」、「自分の考えをはっきり伝えるようになった」、というようなことを言われました。
自分でも、今までよりも自分の考えを整理して明確な表現で伝えられるようになったことで、仕事でも落ち着いて自信を持って取り組めるようになったと思います。今後は新しいことにチャレンジする中でグローバルへとつながるビジネスの実現につなげていきたいです。

数々の失敗から持田さんが学んだこと、そして今後の目標

失敗したこと、苦労したことはありますか?どのように乗り越えましたか?
内容

途中、自分の作業に向き合ってしまった時期があり、仕事上のコミュニケーション不足から「本当に彼は私達の要望を理解出来ているのだろうか」という不信感を持たれている状況を作ってしまいました。要望を形にするための作業に没頭していましたが、要望を実現するためにはそれだけではダメだということを理解した私は、まず自分が実現しなければならないミッションに向き合い直すことをしました。それはつまり彼らの要望に向き合い直すということであり、要望実現のために必要な意見の引き出しや、現状を共有することを仕事の中心としていきました。それにより自然とコミュニケーション量を増やすことに成功し、引き出した意見に対しても素早くフィードバックすることで互いに何を考えるか分かりあえる状況へ改善することが出来ました。技術者として時には技術に向き合うことも大切ですが、それを世の中で役立てるためには何より人に向き合わなければならないということを痛感しました。

現地の方とのコミュニケーションで、気を付けたこと、学んだことは何ですか?

「互いに異なる文化を持っているために、自分の考えや感情は伝わるだろう、ということではだめだ」ということを知識として知っていたため、明確に意思や感情を自分としては表現しているつもりでした。しかしそれはあくまで同じ文化を持つ人々の中で明確に出来ているレベルにすぎませんでした。表情や身振りも使ってストレートに、時に大げさにでも表現しなければ、異なる文化の人々へ伝えることは出来ませんでした。こうした失敗や経験を通じて異文化理解について座学として学んだことをより深く学ぶことができました。

留職で学んだこと、それを今後のキャリアにどのように生かしたいですか?

留職を通じて学んだことはリーダーシップの大切さです。それまでリーダーシップはリーダーがリーダーとして発揮しなければならないものだと考えていました。しかしNPOの中で一人一人が責任を持って業務を遂行している様子、また、自分自身もシステム責任者として行動する中で、それぞれがそれぞれのリーダーシップを発揮しなければならないものなのだということを学びました。

そして自分にとってのリーダーシップとはなんだろうと考えたときに、物事の本質を捉えそれを自らの言葉で人に伝えること、そこから周囲の行動を引き出していくことが自分にとって目指すべきリーダーシップ像だと発見しました。それまで漠然としていたイメージを明確にできたことで、今後のキャリアでも本質を捉える力、伝える力を磨き、チームとして達成していけるようになっていこうという目標を見つけることが出来ました。

留職を通じて、誰かに言われた一言で印象に残っているものはありますか?
内容

一番は三ツ井さん(クロスフィールズスタッフ、持田さんの担当プロジェクトマネージャー)の「それでいいんでしたっけ?」です。定期的にSkype電話で、活動の進捗状況の確認や、成長目標の振り返りを行なっていたのですが、その中で、留職前の目標を思い起こしたり、「プロとして、専門家として、今本当にすべきことは何か?」など、考えを深堀りしたりすることが出来ました。

二番目は、支援サイトのマネージャーとの会話で出てきた『trust』という言葉です。「NPOにとって、実績を積み重ねて信頼を得ることが何よりも非常に重要で、そのためにも一つ一つの仕事を地道に、着実にやっていかなければならない」というお話を伺いました。当然それは企業にも同じことが言えるため、この会話を通じて自分が担っている役割は団体にとってとても重要だという責任と、団体からの期待を改めて感じました。

担当者の声

株式会社日立ソリューションズ 人事総務統括本部
人事部 グローバル人事グループ 部長代理 長坂亮介様
内容

文化的背景の異なる人や社会と交わりながらその課題を探り、協働しながらその解決策を作り上げていくプロセスは、グローバルな環境で事業を牽引することが求められるリーダーに成長する過程で非常に有意義な経験と考えます。また、新興国での活動は、日本国内で培った知識や経験がそのまま通用しない場面に直面することも多いと思います。そうした厳しい環境下での試行錯誤の経験は、複眼的な視点で事象を捉える良い機会になると考えています。

クロスフィールズ プロジェクトマネージャー 三ツ井稔恵
内容

持田さんの業務に取り組む姿勢は、留職先団体からも「彼にとって簡単ではない環境の中でよくがんばっていたと思う。これこそ自分たちがほしいと思っていたシステムを作ってくれた」と評価されました。帰国2週間前に団体から「このシステムは全く違う!」とネガティブフィードバックを受けた際も、団体が驚くほどの切り替えの早さで団体と向き合い直し、結果、プロジェクトの関係者全員にとって納得度の高いシステムを作り上げるということを成し遂げた素晴らしいものでした。
留職を通して見えた自分自身のリーダーシップのあり方を、ご自身の組織やこの先に待っている新しいステージで発揮して頂けるのではないかと思います。

▲ページトップに戻る