NPO法人クロスフィールズでは、新興国の留職プログラムでグローバルに活躍できる人材の育成、企業・行政の新興国進出を支援します。

新興国「留職」プログラム

経験者の声

留職プログラムでは、社会課題の解決に取り組むNGOや企業へと参加者が数ヶ月間にわたって入り込み、そこで本業のスキルを活かして課題解決に挑戦します。留職プログラムの参加者は、どんな思いでこのプログラムに参加し、どのような業務を現地で行い、そしてどのような成果と学びを得ているのでしょうか。ここでは、3人の経験者の方の声をご紹介します。

日本電気株式会社(NEC)の事例

安川展之さん (当時30歳)
日本電気株式会社 中央研究所
留職先:インド(デリー)
留職期間(現地):2013.7-2013.12(6ヶ月間)
受け入れ先団体:農村部での流通インフラを整えることで継続的な開発に寄与する社会的企業

本当に社会に対して価値を生み出せているのか、確かめたかった

留職プログラムに参加したのは、現地へ入り込んで社会課題や顧客の課題が何かということを発見して、全体の運用まで含めてきちんと回るソリューションを提供するという、最初から最後までプロジェクトを完遂するという経験を積んでみたかったからです。研究所という、考え方が技術主体となってしまいがちな組織に所属していたので、どうしてもプロジェクトに関わるのが特定の課題を自分達の技術でどう解決するかというフェーズからになってしまいがちでした。「本当に社会に対して価値を生み出せているのだろうか」、「どういったことが価値なのかを発見できるのだろうか」、という点でチャレンジしたいと考えていました。

この留職というチャレンジを通して、頭でっかちに「社会に対する価値」という視点で事業提案を行うのはやや遠回りな道だったのかもしれない、と感じました。もっと単純に、「現地の誰かを思い浮かべて、彼らがやりたいことに共感し、彼らの抱える課題を発見する。そして、その中で彼ら自身がすることと自分達ができることを組み立てていく」、という方が今ではしっくりきています。

目標は自分の“アントレプレナーシップ”を鍛えること

1人で新しい環境で事を興すにはとにかく自分から動きまくるしかない、と考えていたので当初の目標は「アントレプレナーシップを鍛える」ことでした。現場を見る、彼らと一緒に働く、一緒に暮らす、一緒に食べる、たくさん話す、ことで、海外から来たお客さんではなく、現地メンバーの活動や目指している夢を深いレベルで理解することができました。またもう一つの目標として、日本企業から来た1人のインターンではなく、現地企業の一員として認めてもらって、同じ目標を達成する”ファミリー”と思ってもらうことを、留職する際に考えていたのですが、現場での理解を大切にしたことで、それを達成できたという実感を持つことも出来ました。

現地での学び

1.フロンティアでやっていく度胸と覚悟

右も左もわからないフィールドで何か新しいプロジェクトを実行するときには、度胸と覚悟、この二つがとても大事です。「度胸」については、チャレンジすることは価値があるという確信を得ました。また、わからないことだらけ、情報が無い、やらなくても良い理由は嫌ほど挙げられる。そんな状況でも腹をくくって前に進む「度胸」が身についたと思います。卑近な例として、日本人がインド農村部のコミュニティに入っていくと、最初はギロっとした目で見られることがあります。そこでたじろがずに一歩近づいて声をかけてみる、そんな一歩を踏み出す度胸と覚悟を持つことが、自分にとって新しい世界を開いてくれるということがわかりました。

2.コミュニケーションの先にある信頼の強さ

お客さん、同僚、上司、部下、全ての人が信頼で繋がれているのはとても大きな強みであることを感じました。なぜなら、留職先企業とそのお客さんの関係が、日本の一般的な企業と顧客という関係とは少し違ったからです。商売相手でも、もちろんお金儲けの対象でもなく、彼らは同じ目標を達成する仲間であるという関係性を構築できています。なので、難しい顔をして商談をするのではなく、一緒に今後の方向性を考えますし、自分達の夢へと近づく、少しチャレンジングな次のステップも踏むことができます。同じフィールドで話をしますし、何よりも象徴的だったのが、一緒に笑って肩を組んでいます。それは社内の同僚、上司、部下といった関係性でも同じです。全てのステークホルダーが、同じ目的に向かう仲間として、強い信頼の輪で結ばれていました。
日本にいると、お客さんと自社営業と研究部門が実際に肩を組んでいるのは、今の日本の商習慣からすると想像しがたいですが、同じ社会課題を解決していく仲間達なはずですので、強い信頼を持って一緒に前へ進んでいくということができると信じています。

株式会社日立製作所の事例

白神雄介さん (当時31歳)
株式会社日立製作所 エンジニア
留職先:インドネシア(ジャカルタ)
留職期間(現地):2013.11-2014.1(3ヵ月間)
受け入れ先団体:農村部貧困者層に対する伝統工芸品の製作支援、輸出・販売行うNGO

あの時のカルチャーショックをもう一度

留職の話を頂いたときは、非常に自分にとってチャレンジングなものだなと思いました。ただ、新興国への派遣ということで、学生の頃、新興国と呼ばれる国を何カ国か旅行しましたが、今度は一社会人として仕事をしに行くという異なる状況下で、当時受けた数々のカルチャーショックが、また違う感じ方や気づきとして受け取れるのではないかというところに興味を持ちました。さらに、非常に難しいプログラムになることは想像できましたが、そういうことをやり切る力を身につけたいという思いでこの留職プログラムに参加しました。

最初に直面した壁

白神雄介さん

最初に直面した壁が、実際現地に行って派遣先団体のニーズをヒアリングしてみると、自分が想像していたよりも難しい開発になることが判明したことでした。簡単な手法でやろうと思えばやれなくもない。ただそれでは使いにくいシステムになってしまう。本格的な技術(自分の知識範囲外)を導入して、しっかり作り込むか。そうした時に自分のスキルが追いつかなくて、期間内に完成できないのではないか。そういう葛藤がありましたが、やっぱり相手のニーズ・期待に応えるためには、後者をやりきらないと意味がないし、この留職プログラムの意義も薄れてしまうと思い、後者を選択することにしました。結果的にはこの選択は正解で、最終的に相手に喜んでもらえるものを作れたと思っています。

エンドユーザとFace to Faceで開発

また留職中の日々の業務では言葉の壁はもちろん、自分と相手のバックグランドの違いもあり、非常にコミュニケーションの面で苦労することもありました。さらに、普段私は、エンドユーザが直接操作するようなシステムではなく、大きなシステムの基幹部分で動くソフトウェアの開発に携わっていますが、今回の留職プログラムでは、エンドユーザが直接使うシステムを一から開発するということで、エンドユーザとFace to Faceで仕様を検討しながら進めるというところもチャレンジングでした。特に派遣先団体にはIT技術者と呼べる方がいないため、仕様検討におけるミーティングにおいては、なかなか話が噛み合わないこともあったりして、実際作ってみたら、ユーザの欲しているものではなかったということもしばしばありました。
そこで、相手の本当のニーズを満たすためにも、開発工程をスムーズに進めるためにも、ユーザとの意思疎通が一番重要なことだと思い、ミーティング以外での会話量を増やす、また言葉で伝えきれない部分は、プロトタイプ作成などで実際に視覚的に情報を与えてお互いの理解を一致させるなどの工夫を行いながら業務を進めました。

相手のベストを最優先する姿勢は日本でも活かしていきたい

このように、非常に困難な経験ではありましたが、その中で学んだ事は、最初から自分にできることだけを考えるのではなく、相手にとってどうすることがベストなのかを考え、それを達成するために工夫していくことが重要なことを学びました。また、今回のような言葉の壁があるようなパートナーと仕事する際には、日ごろから相手の課題に真摯に向き合って信頼関係を気づくことも重要だと思いました。

株式会社ベネッセコーポレーションの事例

松尾理緒さん (当時30歳)
株式会社ベネッセコーポレーション 高校生事業部(派遣時は人財部付)
留職先:インドネシア(ジャカルタ)
留職期間(現地):2013.6-2013.12(6ヶ月間)
受け入れ先団体:貧困層/青少年の健全な成長を支援するNGO

留職で変わった仕事への姿勢や価値観

入社前から、いつか発展するアジア諸国で教育に携わりたいと思っていたため、「今回チャンス!」と思い応募しました。

留職前は、決まったやり方、正しいやり方を学んでそれに沿って仕事を進めることが多かったのですが、留職中は生徒の家を実際に訪問し、現地のスタッフや先生の話を聞き、まず自分で見て課題を考え、その上で自分ができることを何でもやってみることが大切だと思うようになりました。

また、現地のスタッフや生徒たちと英語で本音で話し合えた経験から、英語教育の大切さを改めて実感しました。帰国後の今も頻繁に連絡をくれる現地の学校の生徒たちや、友達ができたことも自分の財産になっていて、インドネシアという国を身近に感じ、そこに住む人たちの生活について考えたり、インドネシアと比較して日本のあり方の良い面、悪い面を考えたりすることが多くなりました。

インドネシア教育現場での松尾さんのチャレンジと学び

現地の英語の授業を楽しくするという大きなチャレンジ

松尾理緒さん

留職先では、英語の特別授業を楽しくするというミッションに挑戦しました。現地活動中の授業改善だけではなく、私が日本に帰った後も現地の人で継続されていく状態を作ることが目標でした。具体的に取り組んだのは、授業計画フォーマットの作成や計画の立て方の研修、英語教師向けのトレーニングビデオの作成です。さらに、先生たちとスタッフの共有ホームページの提案と制作も行いました。 私が日本に帰国してからも先生たちが共有ホームページを使い、授業改善に取り組んでくれていると聞いており、自分がプロジェクトでやってきたことが継続されていて本当に良かったと思います。

現地流の仕事の進め方を実践!皆で楽しむことを大切にする

派遣先部署のリーダーに「日本人は仕事ばかりしていて、自殺や社会課題も多いけど、インドネシアでは仕事ばかりではなく、皆で楽しむことを大切にするんだ」と言われたことも印象的でした。オフィスでは勤務時間が終わると皆で楽器を弾いたり歌ったり映画を見たりと、仕事以外に皆の団結を高めることを非常に大事にしておられます。

実際に私自身も、仕事以外で一緒に楽しむという共通体験を通じて、信頼関係が生まれたことを感じました。現地のスタッフと、仕事以外でも相手の家に行ったり日本語を教えてあげたりなど仲良くしていたことで、その後プロジェクトに喜んで協力してくれたこと、また、自分自身がまず楽しみながらプロジェクトを進めたり、何でも積極的に相談したことで、派遣先の自分の部署以外のスタッフも進んでプロジェクトに協力してくれたことは大きな経験として心に残っています。日本式の仕事の進め方だけでは通用しないこと、現地の人の働き方を受けとめることが大事であることを実感しました。

異文化の中で自分の力を試したことで自信がついた

第2言語同士で英語を使い、また会社の肩書きではなく個人として認めてもらい、現地の人たちと一緒に業務を進めることは私にとって新しいチャレンジでした。現地で仕事を進めていくにあたり、最初は細かいスケジュールを立ててもその通り進まないことが多かったのですが、途中から大切な予定に絞って自分からチームメンバーに何度も確認するように工夫して行動を変えたことで、予定通りプロジェクトが進んでいくようになりました。

今回の活動を通じて、異文化の中で、「何が課題か」「何をすべきか」が決まっていない状況でも、自分の目で見て、直接関係者(今回の場合は先生たちや生徒、スタッフや現地の大学の先生)に話を聞くことで課題を把握し、分析し、計画を立てて実行する、ということを自分の力で実践する自信がついたと思います。

貧しい子供たちのためのキャリア教育へ向けて

現地では実際に生徒の家を訪ねた時に、貧しい子どもたちが勉強することでよりよい生活につながる道筋が整っていることが必要だと思ったのですが、実際にはキャリア教育がされておらず、奨学金もまだ充実していないために頑張っていても勉強を続けられず、つきたい職業につけないという課題が依然として存在しています。いつかその根本的な課題も解決できるような事業に自分が携わりたい、そのために業務内・業務外で学び今足りない力をつけていきたい、と思います。

留職プログラムにご関心をお持ちの皆さまへ

・留職プログラムの導入にご関心をお持ちの企業のご担当者様
・留職プログラムにご関心をお持ちの企業にお勤めの方

詳細なご説明をさせて頂きますので、お問い合わせフォームにてご連絡下さい。