NPO法人クロスフィールズでは、新興国の留職プログラムでグローバルに活躍できる人材の育成、企業・行政の新興国進出を支援します。

ソーシャルセクター支援事業 プログラムレポート

ソーシャルセクター支援事業では、東アジア・東南アジアのソーシャルセクターに焦点を当て、社会課題の最前線で活動する団体の組織力や課題解決力の強化を目的とし、よりグローバルな規模での社会課題の解決を目指すプログラムを展開しています。

本プロジェクトについて

国境を超えて生まれる社会起業家たちの化学反応

「有機農業」をテーマに 日本-ベトナム-フィリピンの国境を超えた課題解決の学びあい

アジアにおいて共通の社会課題に取り組む社会起業家や団体同士が互いに交流し学び合うことを通じて、社会課題解決の可能性を広げることを目的としたプログラムを2017年から2019年にかけて実施しました。

坂ノ途中が運営する畑を視察する各国のメンバー

「有機農業の推進」に取り組む日本、ベトナム、フィリピンの社会的企業のリーダーが互いの活動現場を訪問し学び合うことで、さらなる課題解決へ繋げるという目的で行われた本プログラム。
「橋渡し」役として、クロスフィールズは視察の計画立案から成果物の進捗管理まで、全体の企画・運営を行い、アジアにおいてさらに有機農業が広がっていくきっかけとなるような場作りを目指しました。

本プロジェクトは、トヨタ財団国際助成プログラムにより実施しました。

ベトナム

自らの組織の今後のビジョンを再確認

Fargreenは、貧困に苦しむ農家の支援と環境問題の解決を目指し、循環的農業を実現するために活動しているベトナムの社会的企業です。FargreenのCEOであるTrang Tran氏は、プログラムで得た学びをこう振り返りました。

「当初は、単純に技術的なノウハウを共有する場だと想像していましたが、良い意味で期待を裏切られました。このプログラムを通じて、今後自らの組織をどのように運営していけばいいのかということ、また将来へのビジョンを再確認することができ、とても有意義な機会でした。」

Fargreenは、有機農家向けに品質管理のマニュアルを作成し、活動地域の70名近くの農家に発信しました。また、マッシュルームなど団体の商品を生産する農家のエンパワメントを目的とし、パートナーであるハノイの有名なホテルのシェフと協業し、農家の方々に自らが育てたマッシュルームを使った料理を振る舞うイベントを開催しました。

キノコ生産についてのハンドブック(ベトナム語、英語)は、こちらのファイルをご覧ください:
- ヒラタケ
- フクロタケ
- ツクリタケ

フィリピンで有機野菜を使ったディナーを楽しむFargreenのTrang Tran氏

フィリピン

学びあい、助け合えるコミュニティに感謝

フィリピンからは、生産者から消費者へダイレクトに有機野菜を届けるサービスを提供している社会的企業のGood Food Communityが参加。Community Shared Agricultureというコンセプトのもと、2013年の創業から農村部の小規模の有機農家と都市部の消費者をつないできました。

「農家の皆さんに対して市場へのアクセス方法を教えていたように、このプロジェクトを通じて『互いに学びあい、なんでも共有できるコミュニティ』を持つことによって、団体の外にある知見にどう我々がアクセスできるかを学びました」と代表・Charlene Tan氏は振り返りました。

同じ課題に取り組んでいる者同士が助け合うことの大切さを痛感したGood Food Community。同じミッションを持つ人々へのノウハウの共有を目指し、農家との関係構築や物流について等、これまでの活動で得た知見をマニュアルにまとめ、100名近くが集まるイベントで披露しました。今後もウェブでの共有を予定しています。

GFCが作成したマニュアルを活用し、実施したワークショップの様子は、こちらのリンクからご覧ください(英語のみ):https://youtu.be/UwgwkB1rPvc

有機野菜のマーケティングについて議論するGood Food Communityの Charlene Tan氏とFargreenのTrang Tran氏

日本

リーダー同士が互いを励まし合える機会

日本からは、新規就農者等が育てた野菜の個人宅配事業や小売店/飲食店への卸売事業等を手がけている株式会社坂ノ途中が参加されました。10年以上活動している団体としての学びやリソースを活かし、海外でも有機農家と消費者の直接的なコミュニケーションは可能なはずであり、販売を促進するプラットフォームが開発できるはずと考え、このプロジェクトを通じて議論を重ねてきました。

さらに、農家や消費者と協業する海外の団体のニーズや課題をヒアリングするため、フィリピンのGood Food Communityのメンバー・Barreiro氏による2週間の「留職」を受け入れました。Barreiro氏にとっても、類似の活動を行う団体のオペレーションと組織風土を一人称で体感できる貴重な経験となりました。

「社会課題の現場では、答えのない難題に直面することが多い。この道は決して簡単ではないし、孤独である。このプログラムは、同じようなマインドセットを持つリーダーと苦労を共有し、お互いを励まし合える特別な機会だった」と、代表の小野邦彦さんは語りました。

有機野菜の生産者と買い手をつなぐコンセプトを紹介するウェブサイトはこちらからご覧ください(英語のみ): https://farmo-staging.herokuapp.com/en/start

ベトナムでFargreenの活動現場を視察する株式会社坂ノ途中

今後も、クロスフィールズは社会課題解決に取り組むNPOや社会的企業のニーズに向き合い、セクターや国境を超えた協働の促進などを通じて課題解決のサポートを全力で行なっていきます。

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