NPO法人クロスフィールズでは、新興国の留職プログラムでグローバルに活躍できる人材の育成、企業・行政の新興国進出を支援します。


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留職レポート

経営者と同じ目線で、ぐっと視野が広がる

自ら社内に留職プログラムの導入を提案し、実際に留職に参加

株式会社電通国際情報サービス(ISID) 金融ソリューション事業部 真鍋元晴さん

インド

自ら社内に留職の導入提案を行い、第一号として留職に参加された真鍋さん。ISIDでコンサルタントとして10年以上のキャリアを持った真鍋さんは、「プロフェッショナルとして期待を越えていく」というポリシーを持って、現地団体への貢献はもちろんのこと、社内の若手人材への熱の伝播ということも目標に置きながら、留職に取り組まれました。

プロジェクト基本情報 - 株式会社電通国際情報サービス(ISID)

■留職者:
真鍋元晴さん (当時38歳)
■所属:
株式会社電通国際情報サービス(ISID) 金融ソリューション事業部
■留職先:
インド(バンガロール)
■留職期間(現地):
2014/1-2014/4(3か月)
■受け入れ先団体:
貧困層の女性の自立支援をするマイクロファイナンス団体

社内提案による留職プログラムの立ち上げ

内容

私自身は欧米でのビジネス経験はありましたが、新興国でのビジネス経験がありませんでした。本当の意味でグローバル人材となるためには、今後の発展が見込まれる新興国でのビジネス経験が必要と考えておりました。また、中堅社員として、会社に対して既存の枠を超えた新しい価値を提供したいとも常々思っていました。そのような中で留職に関するWeb記事を発見し、直感的に「何か面白いことができそう」と思いました。
そこで事業部の企画部部長、および人事部教育担当に相談の上、留職を新しいグローバル人材育成施策とするよう社内提案を実施しました。最終の役員向けプレゼンまで何度も作戦を練り直す必要がありましたが、企画部部長や教育担当も含め社内の様々な立場の方やクロスフィールズ代表の小沼さんにもご支援もいただくことで、無事留職が承認され、私自身も現地活動メンバーとして参加することができました。

初めてのインドでの現地活動

内容

当初、団体からは「IT戦略の考案」という漠然とした要件しか伝えられていませんでした。そこで、貧困層の女性向け小規模ローンの現場視察や、団体創業経営者へのヒアリングをもとに、ローン業務全体の業務フローの分析を行い、課題解決に向けた提案を実施しました。しかしながら、なかなかその経営者に共感される提案ができず、「自分で企画を立ち上げたものの、このまま成果を出せずに終わってしまうのではないか」という不安を感じながらの日々でした。ただ諦めずに団体内の様々な人とコミュニケーションを図ったり、リモートチームとも議論を重ね、粘り強く何度も提案したところ、ある時、その経営者から「私だって意思決定するのは不安なんだ、特にITに関しては専門外なんだ。」と語気を強めて言われました。その瞬間、正に真の課題が「見えた」と思いました。真の課題は、経営者が意思決定するための、経営とITのつなぎ役がいない、ということだったのです。それ以降、私はITのプロフェッショナルとして、経営者の意思決定を客観的・論理的にサポートするための提案を実施していきました。また、団体を見渡して「今後、ITに関わるマネージャークラスの人材育成が課題になる」と想定し、マネージャー候補と一緒に活動すると共に、マネージャー育成に関する計画策定やトレーニングを実施しました。その結果、団体から「プロフェッショナルとして期待以上の成果だった。また来て欲しい」と言ってもらえました。通常業務でも、「プロフェッショナルとして期待を越えていく」ことを強く意識している私にとって、初めてのインドで初めての団体に単身乗り込んでいくといった環境でもそのような評価を得られたことは、正直安堵したと共に大変大きな自信となりました。

留職で得たものとは

内容

ISIDでは、特定の金融業務領域の課題解決を専門としていました。一方、今回の留職では、団体を創業した経営者に提案するため、財務や人事など事業全体を俯瞰(ふかん)し、経営者と同じ目線で会話することが必要でした。その結果、視座がぐっと上がり、より広範かつ長い時間軸で課題を把握し、解決していくことの必要性が理解できたと考えています。また、今までのビジネス経験から、「グローバルで見ると日本人の方がユニーク」とか、「真の課題を見出し、最適な提案を練り上げるには、現地現物を見てコミュニケーションを図り、仮説設定から提案を繰り返す。そのプロセスはユニバーサル」という意識を持っていましたが、インドでも正にその通りだったと思います。結果として留職の活動を通し、自分自身の「グローバルリーダー」や「グローバルビジネス」に対する考えに強い自信が持てるようになりました。

また、団体が抱える課題の一部はリモートチームに担当してもらい、最終的に団体に直接プレゼンする機会を設けました。特に若手メンバーにとっては、日本から遠く離れた海外の経営者に対し、英語で直接提案を行うことは大きな刺激となったようで、「次は私が現地に行って活動したい」と次の留職候補に手を挙げてくれるメンバーも出てきました。

現地活動を経て感じていること

内容

やはり現地の社会的課題の根深さです。団体が行っている小規模ローンは貧困層向けではあるものの、現地金融当局の規制もあり、本当の最貧層にはリーチできていません。団体創業経営者の自宅に休日招かれた際、そのことを聞いてみましたが、「その通りなんだ」と普段饒舌(じょうぜつ)な経営者がそれ以上何も言わず、暫く遠くに視線を向けていました。それを見て、課題解決までの道のりの長さを痛感しました。一朝一夕で解決できる課題ではないものの、だからこそ、留職の活動により、自分自身の能力を通して新興国の社会的課題の解決に少しでも貢献できる人材が一人でも多く誕生することを願っております。

担当者の声

担当プロジェクトマネージャーから一言

既に欧米での業務経験があったこともあり、団体から「うまくインドや団体内での生活に馴染めるところが強みだ」と言われるほどスムーズに現地に溶け込んでいった真鍋さん。団体での業務に留まらず、休日は現地のビジネスパーソンが集まるコミュニティに参加したりとアクティブに行動し、海外で生活はハードルには感じていないようでした。一方で、小規模とはいえ一経営者と密に仕事をする中で彼らと同じ視座に立つことを求められ、これまでと違った視点を持つ必要性もあったようです。
また日本にいるリモートチームをどのように活動に巻き込むかについても試行錯誤を重ね、自然とリーダーとしての姿勢を意識するようになっていました。
「異なる目線の人と仕事をする」、という経験は今後の仕事にも必ず生きてくる部分だと思います。今後のご活躍を期待しています。

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