NPO法人クロスフィールズでは、新興国の留職プログラムでグローバルに活躍できる人材の育成、企業・行政の新興国進出を支援します。

【レポート】交換留職プログラムを実施しました

2022.11.28

  • 交換留職プログラムは、同じ社会課題の解決に取り組む団体が国境を超えて学び合い、ミドルマネジメント層の人材育成と課題解決のソリューション移転を目的に行っています。

    3回目となる今年は2022年5月から8月にかけて実施。今回はアートを通じた障がい者支援を行うNPO法人エイブル・アート・ジャパン(日本/以下、AAJ)と、Tohe(ベトナム)の2団体より3名が参加しました。その様子をレポートでお伝えします。

    *本プログラムはトヨタ財団の国際助成プログラムにご支援いただき実施いたしました。

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    プログラムは5月上旬に事前研修、5月中旬から7月中旬にかけて参加者がベトナムと日本を訪問、8月に事後研修、というスケジュールで実施しました。

    事前研修を終えると、まず5月中旬から6月上旬の3週間、AAJの参加者・平澤咲さんがベトナムのToheで活動しました。平澤さんは自身の経験を活かしてToheと共同でアート鑑賞ワークショップの企画から開催まで担当。Toheメンバーとアイデアを出し合って構想を練り、最終週にはToheのアート教室に通う自閉症の子ども向けにワークショップを開催しました。

    Toheメンバーと平澤さん(写真・左から4番目)

    そして7月上旬からは2週にわたってToheの参加者・Minh(ミン)さんとTrang(チャン)さんが来日し、AAJの活動拠点の奈良・仙台・東京を訪問しました。2名はAAJが展開する障がいのある人の創作活動やアート製品の製造〜販売の現場、福祉施設での生活支援事業、コミュニティや企業との協働の在り方などを見学していきました。

    AAJの活動拠点を訪問するToheメンバー(写真・右の2名)

    現地活動を通じて、互いの事業や組織運営などから学びを深めた参加者たち。8月に行った事後研修では今回のプログラムで何を学び、どう行動に移したいかを言語化し、その後の業務に活かしていきました。

    それから2ヶ月が経過した10月、プログラムの最終報告会を実施。AAJとToheの参加者と各団体代表が、プログラムを通じて自身と組織の変化を共有しました。以下にそれぞれのコメントを記載します。 

    • フラットでクリエイティブな議論が飛び交うToheでの活動を通じて、自分の価値観に大きな変化が生まれました。「仕事のなかで想いを表現する大切さ」を実感し、帰国後は自分の想いを積極的に発信し、周りのメンバーにも伝播していくような環境づくりを行っています。また、自分自身やAAJを俯瞰的に見れるようになり、プログラム後は「いかに社会的インパクトを拡大できるか」という視点で仕事に取り組んでいます。(AAJ参加者・平澤咲さん)
    • AAJとToheの共通点と相違点を発見する中で、自分たちToheのミッションがさらに磨かれたと感じています。今後は障がいのある子どものアート作品や、アート教室の開催を通じて、一人ひとりの「違い」を尊重し続け、同時にToheの活動をもっと社会に伝えていきたいです。(Tohe参加者・Trangさん) 
    • AAJが行う企業連携やアート作品の著作権保護などは、今後のToheにとって大きなヒントを与えてくれました。沢山の人に共感してもらい、彼らを巻き込んで事業を実現してきたAAJにならって、Toheでもより多くのステークホルダーを巻き込んだ形で事業を創っていきたいです。(Tohe 参加者・Minhさん)
    • 交換留職を通じて組織にポジティブな変化が生まれています。1つは留職者の平澤さんによるものです。彼女は自身の仕事の意義を「社会におけるAAJの役割」から考えるようになり、それを普段の業務でも発露してくれています。もう1つがToheから留職者を受け入れたことで、AAJのメンバーが気づいていなかった自組織の価値を認識できたことです。交換留職を機に再発見した団体の価値を活かしつつ、今後も活動をしていきたいです。(AAJ代表・柴崎由美子さん)
    • 留職したTrangとMinhは、新たな視点を得てベトナムに帰ってきました。留職後の2名は、長期的な視点で事業モデルや組織運営などを考えながら業務にあたっており、今後の組織を担うリーダーとしても期待しています。私自身、平澤さんの受け入れやAAJのみなさんと関わるなかでたくさんの刺激と学びを得られ、Toheの事業モデルやチームづくりを見直す機会となりました。(Tohe 代表・Vanさん)
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    なお、今回の交換留職を担当したクロスフィールズメンバーの西川(紗)と鈴木がプログラム全体を振り返るインタビュー記事は、後日公開予定です。どうぞお楽しみに!